今回は TREK MADONE SL 5.9 のペイントリペアをご依頼いただきました。
約18年前のフルカーボンのロードバイクフレームです。
所々に塗装の剥離や傷があるので、ペイントリペアしたいとの事でした。






お預かりした時の傷の状態です。
傷というより、塗装の剥離が多い感じです。
メインカラーはメタリックシルバーのブルーグラデーションカラーで、グラフィックに2コートブラックパール、3コートホワイトパール、ライトブルー1、ライトブルー2と、多色のペイントリペアになります。
作業工程
洗浄~下地作り
お預かりした時は前後ホイールとシートポスト以外のパーツは付属したままでしたので、塗装範囲に入るパーツを取り外し、汚れを洗浄します。
続いて傷周りの剥離している塗膜を除去します。
この作業を行わずに塗装してしまうと、塗料に含まれる溶剤で剥離している塗膜がふやけるトラブルが起こる可能性が高いです。
その為に、傷は広がってしまいますが塗膜を削り、剥離している塗膜が無くなるように処理します。
次に塗装範囲を数種類の研磨布を使用して足付け作業を行います。
足付けが出来たら傷部分にパテを盛って成形します。


今回はロゴの復元がやりやすいように半透明のパテを使用し、サーフェイサーも使用せずに代わりとしてクリヤーを塗装して下地を完成させます。
クリヤーをサーフェーサー代わりに使用する場合は、次の成形作業までの時間を通常よりも空けてしっかりと硬化させます。
クリヤーが硬化したら塗膜を均して凹凸を無くせば下地の完成です。
マスキング~塗装
下地が完成したらマスキングしていきます。
まずは3コートホワイトパールから塗装していくので、文字やグラフィックの形状にマスキングします。





ダウンチューブのロゴ文字は傷ついていない隣の文字もボカシ塗装の為に塗装可能なようにマスキングします。
その他ではライトブルーの部分も、一度ホワイトパールで塗装するのでマスキングします。



マスキングできたら調色したベースカラーのホワイトを塗装し、続いてパールカラーを塗装します。
ホワイトパールの塗装が出来たら文字やグラフィック周りのマスキングを剥がし、一度クリヤーを塗装してしまいます。
シートステーの傷は他の傷とは違いブラックパールの1色だけで補修可能なので、ホワイトパールの塗装の硬化を待つ間に塗装してしまいます。



3コートパール塗装は塗装回数が多い為に、どうしても塗膜が厚くなってしまうので、一度クリヤーを塗装してからサンディングして塗装の境目にできる段差を均します。
段差が無くなったところでライトブルー塗装用のマスキングをします。



ダウンチューブロゴの文字枠のブルーとその他の部位のブルーではカラーが違うので、それぞれに合うように調色したライトブルーで塗装します。

ライトブルーが塗装出来たら文字周りのブラックパールやメタリック部分を塗装します。



最後にトップクリヤーをボカシ塗装して塗装は完了です。
塗装後に硬化時間を取ってしっかりと塗料を硬化させたら仕上げに磨いてペイントリペア完了です。



