今回は BRIDGESTONE ANCHOR のクロモリフレーム NEO-COT のペイントリペアをご依頼していただきました。
傷の位置は、トップチューブ、ダウンチューブ、シートステーで、特にダウンチューブの傷が大きめです。
作業工程
下準備~調色
まずは塗装の際に邪魔になるようなパーツを取り外します。
今回の場合は、前後のホイール、リヤブレーキワイヤー、シフトワイヤー受け、ボトルケージを取り外します。
ダウンチューブの両サイドにあるシフトワイヤー受けを外すには、ワイヤーを緩める必要があります。
ワイヤーを緩めるには、前後ディレイラーのワイヤーを止めているボルトを緩め、ワイヤーを外します。
ワイヤーを完全に抜き取ってしまう必要は無いので、弛んだワイヤーをダウンチューブから離すようにして固定します。
パーツの取り外しが完了したら脱脂洗浄をして、塗装範囲外の部分をマスキングで覆います。
続いて調色を行います。
今回の調色は中々難しく、難航しました。
このゴールドカラーの調色が難航した理由は、3層に塗装したカラーによります。
一層目がホワイト。
二層目がオレンジ。
三層目がゴールドに塗装されています。
オレンジとゴールドは隠蔽力が低く、オレンジはホワイトが透け、ゴールドはオレンジが透けています。
こういった下の層のカラーから影響を受けるカラーはボカシ際の処理が難しいので、ボカシ塗装の難度も高くなります。
パテ埋め~下地塗装
調色の後は傷を埋める作業を行っていきます。
まずは傷をパテで埋めるために、足付けと処理を行います。
使用するパテは傷の状態に合ったものを選択し、傷を埋めて平滑に成形します。
続いてサーフェイサーを塗装する為に足付け処理を行います。
ダウンチューブのロゴはデカールの為、デカールの際に段差が出来ていました。
この段差を均さないで塗装してしまうと段差に色が付いて目立ってしまうので、研磨布で平滑に処理しておきます。
塗装するサーフェイサーはホワイトを使用します。
なるべく塗装範囲が広がらないようにマスキングして塗装します。
塗装したサーフェイサーが硬化したらサンディングして下地塗装の完了です。
カラー塗装~完成
いよいよカラー塗装に入ります。
まずはベースのオレンジを塗装します。
元のカラーと同じオレンジにしてしまうと隠蔽力が弱すぎて補修部分が消えないので、少し濁らせて隠蔽力を強めたオレンジカラーにしてあります。
このオレンジを上手くボカシ塗装しなければ後まで影響を与えてしまいます。
続いてゴールドをボカシ塗装します。
ゴールドが塗装出来たら、一度クリヤーを塗装してしっかりと硬化させます。
メインカラーの塗装の次は、消えてしまったロゴの復元です。
予め作っておいたロゴデータでマスキングシートを作成します。
残っている文字にズレないようにマスキングシートを張り付けたら、ロゴが厚くなり過ぎないようにエアブラシで塗装します。
ロゴ塗装後はマスキングを剥がし、トップクリヤーを塗装して塗装完了です。
塗装が硬化したらポリッシャーで磨いてペイントリペア完了です。