今回は Cannondale CAAD Optimo のペイントリペアをご依頼いただきました。
お客様によれば、自転車を立て掛けていたら動いてしまい傷ついたとの事でした。
傷はトップチューブ右側面の角に沿って、比較的広範囲に点々と傷ついています。
傷の深さは浅い物から、フレームの素材が見えるほど深い物まで様々です。
作業工程
調色~下準備
まずは補修する部位のカラーに似せた塗料を作るために調色作業を行います。
こちらのフレームのカラー名は Alpine というようです。
残念ながらカラー名が分かったところで車とは違い、塗料メーカーの調色データは存在しないので、自分の目で見た感覚に知識と経験を活かして調色を行います。
まずは元のカラーに使用されているメタリックの種類と粒子サイズを見極めて、調色に使用するシルバーメタリックを選択します。
メタリック塗料は粒子サイズだけでなく、見る角度によって変化する色味も合わせなくてはいけません。
それが合っていないと、正面から見た時に色が合っていても、斜めから見ると補修塗装した部分が黒くなったり白く見えて周りから浮いてしまいます。
続いてパールカラーも配合されているようなので、メタリック塗料と同じようにカラーと粒子サイズを見極めて、使用する塗料を選びます。
最後にブルーの塗料を数種類選び、元のカラーに近づくように調色していきます。
塗料ができたらフレーム側の作業に入ります。
まずは補修するトップチューブ周りの洗浄脱脂を行ってから塗装範囲外を汚さないようにマスキングします。
このフレームはワイヤーが外装なので、そのままでは塗装の際に邪魔になってしまいます。
そこでトップチューブに沿って取り付けあるリヤブレーキワイヤーはケーブル受けから取り外し、トップチューブから離れた所にテープで固定します。
こうしておけばブレーキキャリパーからワイヤーを取り外さなくても作業の邪魔になりません。
パテ処理~下地塗装
続いて傷にパテ盛り前の下処理を行います。
傷にそのままパテを盛ってしまうと、色々と問題が起こる可能性が高いので、傷周りを整えておきます。
傷の下処理が出来たらパテを盛って、傷の凹凸が無くなるように成形します。
傷をパテで埋めたら塗装する範囲より少し広めに足付け作業を行います。
次にサーフェイサーを塗装する為のマスキングを貼ります。
サーフェイサーは出来るだけ塗装する範囲を狭くしたので、傷周りだけを塗装できるようにマスキングします。
使用するサーフェイサーはホワイトに少しブルーを混ぜた物を使用します。
サーフェイサーが硬化したら研磨布で均して下地塗装の完成です。
カラー塗装~完成
いよいよカラーの塗装に入ります。
念入りに脱脂とホコリを取り除き、ボカシ塗装を行います。
続いてカラーを塗装した範囲より広めにクリヤーをボカシ塗装して塗装完了です。
しっかりと時間を掛けて塗料が硬化させます。
塗装が硬化したら数種類の研磨布とコンパウンドを使用して磨き上げます。
最後にマスキングを取り除けばペイントリペア完了です。