今回は BIANCHI OLTRE XR3 のペイントリペアをご依頼いただきました。
左右のシートステーとチェーンステーの傷を補修したいとのご依頼でした。
作業工程
洗浄~パテ盛り
まずは塗装の邪魔になるパーツを取り外します。
と言っても、今回はリヤディレイラーケーブルをチェーンステーのケーブル受けから外すのと、右チェーンステーに貼ってあるプロテクトシールを剥がすだけです。
パーツを取り除いたら塗装範囲の汚れを念入りに洗浄します。
エンド回り、ケーブル受け、ブレーキ台座周りなどは汚れが溜まりやすいので、ブラシも使用して綺麗にします。
この洗浄は非常に大切で、細かな隙間に入っている汚れも塗装を弾くトラブルの元になったり、スプレーガンで塗装する風圧で隙間から出てきて塗装した表面に付着してしまったりします。
洗浄後は塗装する範囲より少し広く足付け作業をします。
多くのリペア塗装で行うボカシ塗装では塗装範囲全てにプライマーを使用する事は出来ません。
その為、この足付け作業を疎かにすると、塗装の密着力不足になり塗装剥離の原因になります。
続いて傷に下処理をしてからパテを盛って成形します。
サーフェイサー塗装
傷をパテで埋めたらサーフェイサーを塗装するのですが、今回の傷は文字付近や文字自体に傷が入っているので、そのままサーフェイサーを塗装すると文字が消えてしまいます。
下段の文字と右端のRマークは細かすぎて復元が不可能なので、消えては困る文字はマスキングします。
マスキング出来たらサーフェイサーを塗装するのですが、今回はホワイトのサーフェイサーにグリーンを少し混ぜて塗装します。
カラー塗装
下地が出来たらカラー塗装を行っていきます。
左右のチェーンステーは調色したチェレステカラーだけでリペアできます。
右のシートステーも僅かに欠けた文字をブラックでリペアする以外はチェレステカラーだけです。
問題は左のシートステーです。
完全に文字を削るように傷が入ってしまっているので、他の部位と比べるとリペア難度が高いです。
幸いにも右のシートステーに全く同じ文字が入っているので、そこから文字のデータを作成してカッティングプロッターでマスキングシールをカットします。
作成したマスキングシールを使用して傷ついていない文字はマスキングをして、傷の入っている文字はチェレステカラーを塗装して綺麗に消してしまいます。
塗装したメインカラーが硬化したら、消した文字を塗装する準備をします。
塗装する文字が小さく少量なので、簡易的なマスキングで周りを囲い、文字を塗装します。
文字のブラックカラーを塗装したらマスキングを剥がし、トップクリヤーをボカシ塗装すれば塗装完了です。
クリヤーが硬化したら最後にポリッシャーで磨いてペイントリペア完了です。