今回は SPECIALIZED のロードバイクフレーム ALLEZ のカスタムペイントをご依頼いただきました。
お預かりしたフレームの素材はアルミニウムで、フォークはカーボン製でした。
アルミフレームなので溶接跡があるのですが、かなり綺麗に処理されているアルミフレームです。
こちらのフレームセットをカスタムペイントさせていただきます。
ご依頼のカスタムペイント内容は、フレームは元塗装の剥離してから塗装、フォークは現在の塗装に上塗りです。
ロゴはヘッドチューブのマークのみ（カッティングシート）で、カラーはブラックホログラムフレークになります。
作業工程
元塗装剥離
まずはフレームにBBベアリングとヘッドパーツが圧入されているままでしたので、専用工具を使用して取り外します。
金属素材の塗装剥離は剥離剤をフレーム全体に塗布して塗装剥離するのですが、パーツが付属していると剥離剤の使用が出来ません。
弊社で取り外す事も可能ですが工賃が発生いたしますので、できる限り取り外してからのお持ち込みや配送をお勧めいたします。
全てのパーツを取り外したら汚れやグリスなどを洗浄して剥離作業に取り掛かります。
まず最初に粗目のサンドペーパーでフレームの塗装に傷を付けます。
こうする事で剥離剤の浸透が良くなり、塗装の浮きがよくなります。
剥離剤は刷毛でフレーム全体にたっぷりと塗布して塗装が浮き上がるのを待ちます。
塗装が浮き上がってきたらヘラやブラシで除去し、塗装が完全に剥離でるまで何度も剥離剤の塗布と除去を繰り返します。
全ての塗装が除去できたらフレームに剥離剤が残らないように綺麗に洗浄して、塗装の剥離は完了です。
カーボンフォークは上塗りのご注文なので、洗浄後にマスキングをしてから少し粗目の研磨布で足付け作業を行っておきます。
下地塗装
非常に綺麗なフレームで傷や凹みは見当たらないので、パテ埋めはせずに下地塗装を行います。
まずはプライマーを塗装するのですが、アルミのフレームと上塗りのフォークでは使用するプライマーの種類を変えます。
今回はフレームにウォッシュプライマー、フォークにはミッチャクロンを使用しました。
プライマーの次はサーフェイサーを塗装します。
今回はグレーカラーのサーフェイサーを使用しました。
塗装したサーフェイサーが硬化するのを待ち、塗装面の凹凸などを研磨布で均して滑らかにします。
カラー塗装
続いてカラーの塗装です。
今回のカラーはメールと写真でお客様のイメージするカラーを数色まで絞り込み、最終的な決定には郵送したカラーサンプルの中から決めて頂きました。
選んで頂いたブラックホログラムフレークの塗装ですが、まずはベースカラーとしてブラックを塗装します。
少し時間を空けてからブラックホログラムフレークを塗装します。
ブラックホログラムは、顔料をクリヤー塗料に混ぜて調色した物を使用します。
今回は粒子サイズが0.08㎜の物を使用しました。
ブラックホログラムフレークを塗装してから少し時間を空けて塗料が硬化してくると、塗装面がザラザラしてきます。
0.08㎜とフレーク系としては非常に粒子が細かい部類ですが、それでもこのような状態になってしまいます。
ここのザラつきを無くすためにクリヤーを追加で塗装します。
粒子が荒いフレークの場合は中研ぎを行うのですが、粒子が細かいフレークだったので、追加のクリヤーが硬化した時点で殆どザラつきがなくなっていました。
全体に足付け作業を行ってからヘッドチューブにスペシャライズドのロゴマークのステッカーを張り付けます。
ロゴ等はヘッドチューブだけのご注文でしたので、最後にトップクリヤーを塗装して硬化させます。
ポリッシング～完成
塗装が硬化したら磨きの作業を行います。
まずは1500～3000番の研磨布を順番に使用して塗装肌を滑らかに均していきます。
続いて研磨布の研ぎ跡で白く見えるフレームを2種類のコンパウンドを使用して磨き上げて完成です。
