今回は CARRERA のカーボンフレームのペイントリペアをご依頼いただきました。
オート・ビーンズからSecond Beansに移行する前にお問い合わせをいただいていた為、お客様には大変お待たせしてしまいました。
傷ついてしまっていたのは左のフォークブレードとダウンチューブのロゴ周りです。
フォークの傷は素材のカーボンが完全に透けるクリヤー仕上げの部分でした。
傷の状態は塗装が削れてカーボン地まで届くか届かないかギリギリの深さです。
若干深めの傷とはいえ、こういった艶ありクリヤーのみでリペアできる傷は調色の必要が無い為、比較的安価な6,600円~(2022.4.18時点の料金)でリペア可能です。
作業工程
洗浄&下処理
今回お預かりした時点では全てのパーツが付いたままの状態でしたので、まずは塗装するのに邪魔になるフロントホイールを取り外します。
弊社ではペイントリペアを行う場合、トラブル回避の為に塗装範囲に近いパーツは出来る限り取り外してから塗装を行わせていただきます。
続いてマスキングですが、エアブラシやスプレーガンで塗装する際、塗料は霧状になって噴射されます。
噴射された塗料は全てが目的の場所に付着するわけではなく、何割かは付着せずに空中に漂います。
そういった塗料が自転車の他の部位に付着しないように、パーツを取り外したら塗装する部分以外は全てマスキングで覆ってしまいます。
マスキング後は塗装予定の範囲より広めに洗剤や薬品を使用して洗浄します。
傷部分はワックスやオイルなどが入り込んでいる可能性があるので、特に念入りに洗浄をしておかないと塗装時に弾きなどのトラブルの元になります。
続いて傷の下処理をしてから塗装範囲を研磨布で足付けを行います。
塗装
通常の傷であればここでパテ等を使用して傷を埋める作業を行うのですが、今回はカーボン地の透けたクリヤー仕上げなので、パテ等は使用できません。
なので、パテ代わりに少し濃いめのクリヤー塗料をパテ代わりにして傷に盛ります。
ここで注意しないと、一度で傷を埋めてしまうような厚盛をすれば硬化時に気泡が大量に入ってしまいます。
多少気泡が入ってしまうのは使用が無いのですが、時間をかけて数回に分けて盛っていくことで出来るだけ気泡の量を減らします。
傷部分が少し凹んだくらいの状態までクリヤーを盛れたら最後に仕上げとしてクリヤーをボカシ塗装して塗装は完了です。
ポリッシング
塗装したクリヤーが完全硬化すると溶剤が揮発して塗膜が薄くなるので、塗装直後は綺麗に見えた塗装でも塗装肌や傷周りに若干の凹凸が見えてきます。
そういった部分を1000番~3000番の研磨布で研いで滑らかにします。
この研ぐ作業を行うと削れた粉によって巣穴などが見つかる事があります。
今回も数か所の巣穴が見つかったのでクリヤーで埋めてしまいます。
最後に数種類のコンパウンドとパッドを使用してポリッシングしてペイントリペア完了です。